避妊・去勢について
ワンちゃん・ネコちゃんの将来の健康のために
避妊去勢は繁殖の予定がない場合などに行なう外科手術のことです。
この手術を行なうことで望まない妊娠を避けることができるだけではなく、子宮や精巣の病気予防、発情期の鳴き声やスプレー行動などを抑えることが可能です。
手術のメリット・デメリット
メリット
メスの場合
- 望まない妊娠を防ぐことができる
- 乳腺や子宮、卵巣の病気を予防できる
- 適切な時期に避妊手術をすることによって、乳腺腫瘍の発生を抑制する効果がある
- 発情出血を無くすことができる(ワンちゃん)
- 発情時の鳴き声を軽減できる(ネコちゃん)
オスの場合
- 攻撃的な性格が抑えられる
- 精巣や前立腺の病気を予防できる
- 縄張り意識が軽減し、ケンカなどがなくなる
- スプレー行動を抑えられる(ネコちゃん)
- マーキング行動を抑えられる(ワンちゃん)
デメリット
- 肥満になる可能性
- 性ホルモンの分泌がされなくなることで活動量も減退するため、肥満になりやすいとも言われています。
対策 → 食事管理、運動などで肥満を予防しましょう。 - 全身麻酔のストレス
- 手術を行う際には全身麻酔を施すため、ワンちゃん・ネコちゃんの身体に大きなストレスを与えます。
対策 → 全身麻酔・手術に際しては事前に必ず術前検査を行います。年齢・手術内容・健康状態等によって検査内容は変わりますがしっかり全身状態を確認してから、全身麻酔・手術におけるリスクについてご説明いたします。 - 性格の変化
- 避妊・去勢手術を受けると、ごくまれに性ホルモン分泌の変化のため、動物達の性格が変わってしまうことがあります。
性ホルモンに関わる病気
メスの場合
- 子宮蓄膿症
- 避妊手術をしていない中年のメス犬に多く見られる病気です。子宮に膿がたまり、炎症を起こしてしまいます。
- 膣炎
- 細菌感染などによって起こる炎症です。無症状の場合もありますが、何度もトイレいったり、座る度に不快そうであればこの病気が疑われます。
- 乳腺炎
- 乳腺にしこりができたり、熱を帯びたり、腫れたりすることがあります。授乳期にみられる症状なので、避妊をした場合は授乳する必要がないため予防可能です。
- 偽妊娠
- 小型の動物達にみられる症状です。交配歴がないのにも関わらずお腹が大きくなったり、乳腺が発達したりします。そのため、乳腺炎なども引き起こす可能性があります。
オスの場合
- 前立腺肥大
- オスの生殖器に関わる病気の中で最も多く、危険性が高いと言われています。尿が出にくくなることで、膀胱炎や腎臓炎などが起こるため、発覚が遅れると命にも関わる病気です。
- 前立腺膿瘍
- 前立腺が細菌に感染して化膿する病気です。主な症状は尿に膿がでるため、色が濃くなったり濁ったりします。膀胱炎と似た症状が多いため、発覚が遅れるケースが多いです。
- 亀頭包皮炎
- 生殖器が細菌感染を起こし、膿がでる病気です。この病気にかかると自分の生殖器を舐めるといった行動がよく見られます。直接的に生命に関わる病気ではありませんが、不快感を取り除くためには適切な治療が必要です。
- 陰睾丸
- 睾丸(精巣)の片方もしくは両方が腹部に残り、降りてこない病気です。腹腔内もしくは腹部に停留した睾丸は腫瘍化する危険性が高いので、基本的に去勢手術をお勧めしています。
手術の流れ
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まずは健康状態・年齢・体格などを診察いたします。術前検査(要予約)で詳しく全身状態を把握し、手術・全身麻酔についてご説明いたします。術前検査にて病気が発見された場合には治療を優先し、その後改めて手術日程等ご相談いたします。
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夜ご飯を食べ終えたら、絶食を始めます。安全に手術を行うために必ず必要なことですので、厳守していただくようお願いいたします。
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当日の朝もご飯と水は抜いた状態で病院にお越しください。午前中にお預かりして、午後から手術になります。ご飯を食べてしまった場合、手術を行えない場合もあります。
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オスの場合基本的には日帰りになります。ネコちゃんのメスの避妊手術も現在では日帰り可能です。
ワンちゃんのメスの避妊手術の場合のみ術後、経過観察の為通常1泊していただいております。 -
ご案内した日時にお迎えをお願いします。お薬を持って退院となります。手術後から10~14日で抜糸となりますが、それまでの間の生活で気をつけていただきたい点をご説明して終了になります。
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退院の際にご案内した注意点を守りながら、抜糸までの間経過を見てあげてください。食欲がない、元気がないなど不安を感じることがあれば、すぐにご相談ください。
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抜糸予定日になりましたら、診察時間内にお越しください。抜糸予定日に都合が悪い時は抜糸を遅らせることも可能です。抜糸後の生活にも注意点がある場合は、この時点で再度ご案内いたします。
よくある質問 Q&A
- Q何歳くらいに受けるのがベストですか?
- A現在では一番いい時期は定まっていません。しかし、成長期には性ホルモンが必要なので当院では、骨や体の成長が終わってからをお勧めしています。避妊・去勢手術で飼主様が何を優先したいかによって変わりますので、個別相談となります。通常、猫・小型犬のメスでは生後8カ月くらいまで、オスでは生後10カ月くらいまでが成長期です。
- Q発情期がなくなるって本当?
- A避妊手術では開腹して卵巣のみ(猫)または卵巣と子宮(犬)を摘出し、去勢手術では睾丸を摘出します。そのため、性ホルモンの分泌がなくなるため、発情期特有の行動などは起こらなくなります。
- Q術後の肥満は予防することはできますか?
- A性ホルモンが分泌されなくなることから、避妊・去勢手術を行った後はワンちゃん・ネコちゃんの活動量が少なくなり肥満傾向が見られるようになります。しかし、これは食生活、運動を見直ししていくことで、予防することが可能と考えます。お悩みの方は定期的に体重測定をし、ご相談ください。
- Q避妊・去勢手術をすると寿命が延びるの?
- A避妊・去勢手術をすることで寿命に影響する報告はありません。しかし、手術で摘出した卵巣や子宮、精巣の病気になることはなくなります。また、性ホルモン分泌が影響する疾患には予防になると言えるでしょう。